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「組織やコミュニティに学びながら、デザイナーとして成長していく」 三古 達也 – メンバーインタビュー #13

THE GUILDメンバーインタビュー、第13回はUI/UXデザイナーの三古達也さん(@t_mifuru)です。

株式会社エウレカやBASE株式会社を経て、THE GUILDに社員として入社。その後、フリーランスとして独立後もTHE GUILDに所属し続けている三古さん。

UI/UXデザイナーとしてのキャリア、THE GUILDに社員とフリーランス両方の立場で関わっているからこそ見えてきたこと、今後の展望などについて話を訊きました。

ものづくりへの興味からデザイナーの道へ

― 三古さんがデザイナーの道を歩み始めたきっかけは?

学生時代のゼミで、箱根駅伝に向けて陸上部のドキュメンタリー動画を作り、月に1本YouTubeにあげる活動に取り組んでいたのですが、その経験が、ものづくりを志すきっかけになっていますね。

そのゼミが終わって最初に興味を持ったのは、プログラミングでした。大学3年生の頃に、ウェブサイトを作ろうと思い勉強を始めたのですが、デザインがないウェブサイトを作りながら「何のためにやっているんだろう」と考えてしまって......そこからデザインにのめり込んでいました。

デザインの勉強は独学からはじめ、大学時代に3社ほど短期のインターンシップにも参加しました。最後のインターンシップが株式会社エウレカで、ちょうど卒業のタイミングと重なったこともあり、そのままアシスタントデザイナーとして入社することになりました。本当に初歩的なところから、勉強させてもらったという感じです。

― その後はどのようなキャリアを歩んできたのですか?

インターンを含めて約半年在籍したエウレカを退職した後、受託制作をやっていた知人のところで約1年間働かせていただきました。そこでは大手企業のウェブ制作の案件が多かったのですが、いくつかアプリの制作にも携わるようになりました。

一方で、期間は短かったのですがエウレカの「pairs」でユーザーと対峙するサービスに関わった経験が、とても印象に残っていて。やはりユーザーの声に近いところでデザイナーとして関われる事業会社に転職しようと思い、ECやレディースファッション関連の会社を4社くらい受けて、転職しました。それがBASE株式会社ですね。

BASEはECプラットフォームとオンライン決済サービスを開発している会社なのですが、はじめの2か月ほどは、ショップオーナーさんが使うダッシュボードのトップページの改修を行い、その後はBASEアプリのフルリニューアルに携わることに。「アプリを制作したい!」とCTOをはじめいろんな方に伝えていたので、アプリのリニューアルはまさに希望通りの仕事でした。

そこから、アプリのリニューアルに2年ほど関わっていたのですが、立ち上げから約300万ダウンロードを達成するまで、デザイナーとして自分ひとりで担当させてもらっていたこともあり、チームビルディングなど含め、多くのことを学ばせてもらったなと思います。

その後、「PAY ID」というID型決済サービスを扱う事業部に異動したのですが、決済領域では法律が絶対的な影響力を持っていて、僕が不要な機能だと思っても、法律が変わらない限りは実現できないということもたくさんありました。当時は、「デザイナーが諦めるしかないのか......」とよく感じていましたね。

THE GUILDへの転職と独立

前職でデザイナーとしてコミットできることの限界を感じながら、あるとき転職サービスの「デザイナードラフト」から案内メールが届いたので応募してみたんです。ステップアップのつもりで応募したのですが、最終的に上場企業も含めて4社ほどからオファーをいただけて。オファーをいただいた会社に訪問するうちに、転職活動になっていました。

― 転職活動をしてみることって、客観的に自身の市場価値をはかることにもつながりますよね。

その頃同時に「Wantedly」もチェックしていて、たまたま目に入ったのがTHE GUILDです。

THE GUILDのことはもちろん知っていましたが、雲の上のような存在というイメージがあって、絶対無理だろうとは思いつつ記念受験のような感じで応募したところ、2日後くらいに連絡があり、面接を兼ねたオフィス訪問の機会を得たんです。

その後、一次面接、二次面接とトントン拍子に話が進んで、「いつから来るの?」と(笑)。流れるように決まりましたね。

― フリーランスの集合体であるTHE GUILDでは、当時社員はひとりもおらず、組織として初めて社員採用を行ったのですが、実際社員として働いてみてどうでしたか?

入社してすぐ担当させてもらった案件では、北田さん(@soohei)と一緒に動いていたのですが、自分でもスキル不足を実感してはいたものの、初めてこんなにフィードバックをもらったと感じるくらい、北田さんからたくさんのフィードバックをもらいました。デザインの考え方や直し方、打ち合わせの進め方、クライアントとのコミュニケーションのとり方など、本当にいろんなことを教えてもらいました。

BASE時代の2年半は受託ではなく事業会社だったこともあり、誰かに見せる資料なんて作ったことがなかったんです。社長との距離が近く、PCの画面を見せながら説明して終わり。クライアントとの打ち合わせをオーガナイズしたり、資料をしっかり作り込んで意思決定を促すという経験は全くしてこなかったので、馴染むのが大変でしたね。

また、同じデザイナーでも人によって方針や進行の仕方やり方が違うことも重要な学びでした。

たとえば、Sketchのデザインデータの作り方1つとっても、まずはラフに作って形だけ整える人もいれば、最初から完璧なコンポーネントを作って始める人もいます。当時、主に一緒に仕事をしていたのは北田さんと大宮さん(@we6tr0n)でしたが、その2人を見ているだけでもいろいろな違いがありました。

そういう環境で仕事をさせてもらったことで、2人のやり方のいいところや自分に合っているところを選んで組み合わせるような働き方ができるようになりました。社員だった頃だけでなく、独立した今でもそうしています。

THE GUILDのメンバー間でも、デザイナー同士が一緒に働くということはなかなかないので、本当に稀有な経験をさせてもらったと思います。

― フリーランスの集合体という組織だからこそ、良い意味で標準化されずにそれぞれのやり方を際立たせることができるのかもしれませんね。その後、THE GUILDの社員を経て、独立した経緯は?

THE GUILDには2018年1月に入社して、その年の12月末に退社しました。なので、社員として所属していたのは丸1年ですね。

実は、THE GUILDに入るときから、将来の独立を見越していました。THE GUILDに入社したからこそ、その先には独立という未来があるだろうから、準備期間として3年くらいは社員として経験を積もうと思っていたんです。でも、THE GUILDの仕事をしながら、副業として個人でもいくつか仕事をもらえるようになって、無理に3年待つ必要もないと考え、思い切って独立することにしました。

― これまでもインターンやアルバイトとしてTHE GUILDに関わってきたメンバーが他企業に就職し、何かのきっかけに戻ってきてくれるパターンはよくありましたが、三古さんが独立を決めたとき、THE GUILDにメンバーとして残りたいと思った理由は?

独立した後も、コミュニティには絶対所属したいと思っていました。フリーランスになったらコミュニケーションが極端に減ると聞いていたので、自分は絶対にそうなりたくなかったんです。

当時から、コミュニティにいることでいろいろ学べたり、成長することをTHE GUILDで体験してきたので、THE GUILDを離れる理由がなかったですね。退職の意向を伝えるときに、僕から「THE GUILDに残ってもいいですか?」と聞きました。

独立しても、コミュニティに所属するデザイナーであり続ける

― 独立してみて、どうですか?

税理士対応や銀行の処理など、いわゆる社長業が増えました。大変ではありますが、「社長ってこういう仕事をしていたんだな」という学びがあります。これまでは直接自分の収入になっていたものが、一度会社にお金を入れて役員報酬として自分に支払うようになったので、お金に意識を向けることも増えました。

一方で、働き方はとても楽になりました。出社時間の制約がなく、幸いなことにさまざまな案件にお声がけいただける状況にあるので、いろんなところで選択肢が広がりました。

― 選べるほど案件の依頼があるというのは素晴らしいですね。今はどんな仕事を?

THE GUILDではフィンテック系のサービスと「アル」というマンガサイトの2件に携わっています。

あと、THE GUILDとは別に「Unthem(アンセム)」というチーム組織にも所属していて、そちら経由の案件でもアプリやウェブサービスのUIデザインの仕事をしています。

自分1人で仕事をしていると、接する情報や人とのつながりが限定的になってしまうので、THE GUILDやUnthemのような組織が増えていってほしいですね。いろんな組織があるなかで自分に合いそうなところに所属するというフリーランスにとっての選択肢も増えますし、その組織毎に個性があるので、THE GUILDにいるから知ることができる世界があったり、Unthemにいるから聞くことができる話があったりして、自分も周囲から刺激を受けています。

― 2つの組織に所属して、独立したデザイナーとして仕事をされていく中で、三古さんが心がけていることや、自分の強みだと感じていることはどんな点ですか?

「デザインは透明であるべき」ということですね。

UIデザインをはじめるにあたって、あるべき機能を先に考え、それらをデザインに落とし込むのではなく、「UIのあるべきかたちに対して、機能をどうシンプルに落とし込んでいくか」という考え方をしています。ユーザーの認知的コストや学習コストを最小限にしながらも、サービス側が使ってもらいたい機能をユーザーに届けることができる、そんなUIデザインを心がけています。

― フリーランスになって半年。順調にご活躍されているようですが、最後に今後の展望を教えてください。

1つの案件に注力する時間を増やしていきたいと考えています。

これまで、何か1つに絞るのはまだ早いと思っていたこともあり、いろんな案件をお手伝いさせてもらって、たくさんの経験やノウハウを得ようとしてきました。その結果、独立してからのこの半年、週1の工数で5~6案件抱えるという働き方になってしまい、作業に追われてしまっていたんです。

今後は、単にデザイナーとして関わるだけでなく、ビジネス面まで、1つ1つの案件に深くコミットしていく方針に変えていきたいですね。THE GUILDでは「YAMAP」のCXOになった安藤さんや自分が好きな分野で仕事をされている他メンバーの背中を見ていることもあって、今お手伝いしているマンガのアルも含め、他にはレディースファッションやスニーカーなど、自分の好きな分野での仕事に、より深く関わっていきたいなと考えています。

― ありがとうございました。

三古 達也 / Tatsuya Mifuru
UI/UX Designer
THE GUILD Member / bond 代表取締役

BASE株式会社にでBASEのアプリ、PAY.JPやPAY IDのデザインを一括して担当。2018年にTHE GUILDに社員として参画。2019年に独立後、引き続きパートナーとして在籍。スタートアップを中心にUI・UXのデザインを通して、サービスの立ち上げやグロースを支援している。

Twitter: @t_mifuru