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「さまざまな顔を持つ、職人肌のクリエイター」 奥田 透也 - メンバーインタビュー #03

こんにちは。THE GUILDの市川(@nagiko726)です。

メンバーインタビュー第3回、今回ご登場いただくのは、インタラクションデザイナー、デベロッパーの奥田 透也さん(@alumican_net)です。

大企業からスタートアップまで、さまざまなサービス改善に関わりながら、作家的な一面を持ち「デザインあ」展など展覧会のインタラクティブアートを手がけている奥田さん。多摩美術大学では、総合デザイン学科の非常勤講師として若手の育成にもあたっています。

目次
・サービス改善から展覧会の作品制作まで
・作品制作にもデザイナーとして向き合う
・美大講師としての一面
・THE GUILDでの自分の役割

サービス改善から展覧会の作品制作まで

― 奥田さんはお仕事の幅の広さや取り組む姿勢から、THE GUILD内でも特に”職人肌のクリエイター”という印象を持っています。最近手がけた案件にはどのようなものがありますか?

クライアントワークでは、チャットボットを誰でも作れるサービス「Repl-AI(レプルAI)」さんに数年前から関わっています。THE GUILDメンバーでもあるセオ商事の瀬尾さん(@thedoorjp)と一緒に、WEBサイトのランディングページから管理画面(ダッシュボード)、エディターまで、リニューアルと改善をUI/UXデザイナーとしてお手伝いさせていただいています。

エディターやダッシュボードを作るので、制作の過程でチャットボットの裏側のエンジニアリングにまつわる専門用語が頻出するんですが、瀬尾さんは元エンジニアだし、僕もエンジニアリングがわかるので、技術者の言葉を解釈して、わかりやすい言葉や絵作りに反映できているのではと。そこはTHE GUILDメンバーのマルチなスキルがうまく働いてると思います。

あとは「まごチャンネル」さんという、スマホで撮影した子どもの写真が実家のテレビに自動配信されるというサービス。

どうやってサービスを改善していくかという打ち合わせから、実際にアプリやテレビ画面のインターフェースのデザインやモックアップを作ったり、コンサルから実制作まで、こちらももう1年以上関わらせていただいています。

まごチャンネルはスモールチームなので色んな人と話しながら、なるべく早く改善が回っていくように意識をしています。完成度の高さはもちろん重要なのですが、それよりもどんどん世に出しながら調整していくことにプライオリティを置いています。

― 長期の案件が多いですよね。

そうですね。短期の案件は作家的な作品作りとか、展覧会に出すための作品作りとか、そういうのしかないです。

― 作家的なお仕事といえば、開催中の「デザインあ」東京展では、なまえをテーマにした作品を手がけられていましたよね。

「デザインあ」展で展示した作品「名は顔をあらわす」は、僕単独ではなく、大日本タイポ組合さん、タイプデザイナーの宇野 由希子さんの三者で制作したものです。

文字を人の顔に見立てて、自分の名前で似顔絵を作るという、大日本タイポ組合さんのアイデアをベースに、プログラミングを使って、どんな名前からでも似顔絵を生成できるようにしたい、というリクエストをいただいて。僕は全体のテクニカルディレクションとプログラミングを担当しました。

僕がチームに関わった時点で明確なコンセプトがあったので、それをどうすれば実現できるのか、より良い体験にできるのかを一緒に考え、検証しながら制作を進めていきました。

また、テクニカルディレクターとして、制作に関わる各プレイヤーの手が止まらないようにするというのも重要な仕事でした。

今回は700個以上のオリジナルの文字を作る必要があったので、文字をつくってもらっている間に、僕は顔認識システムとアニメーションエンジンを開発して、途中合流しながら双方チューニングしていく仕組みを作りました。そのための、文字を適宜試せる専用ツールも開発し、展示場の文字データもオンラインで更新可能なように設計しました。

チームで制作したとしても、最終的にひとつのものにしなければいけないので、制作を仕組み化できるかは、最終的にクオリティに大きく関わってくるポイントだと思っています。

作品制作にもデザイナーとして向き合う

「作家的な仕事」に映るかもしれないんですが、展覧会は作家というよりもデザイナーとして関わっている意識が強いです。

どの展覧会も目的(コンセプト)があって、その上で作品を配置していくわけです。お客さんは僕の作品を見るまでにどんな作品を見て来るのか、そして僕の作品を見て何を持って帰ってもらうのか。どのような表現をするのかは作り手に全て任されているけど、その目的に到達する道筋はかなりデザイン的なものです。

― 作品制作とクライアントワークを両立しているのって、THE GUILDでも奥田さんぐらいだ、と他のメンバーとも話していたんですが、どんな仕事をするのかご自身の中で意識的にバランスをとっていたりするんですか?

面白いことは全部やりたい主義なんで、「この仕事がどの働き方に属してるか」みたいなことはあまり考えてないです。

一方で、常に面白いことに手を出せる状態にしておく、あえて曖昧にしておくみたいなことは強く意識していて、結果自然とこうなっている感じです。

美大講師としての一面

― サービスの改善や制作のお仕事をしつつ、一方で先生としての一面もお持ちですよね。多摩美術大学の講師を務められて何年目ですか?

5年目です。多摩美術大学に統合デザイン学科が出来た年からですね。

― 大学ではどんなことを教えているんですか?

僕は数人の先生たちと一緒に1、2年生を担当しているんですけど、1年生のテーマは「インターフェース」。

世の中をいろんな切り口から見るということを1年間かけて教えています。抽象化してみようとか、構造化してみようとか、似ているものを集めてみようとか、変化に気づこうとか、視点を養えるような課題を設定して、それを作品にして持ってきてもらうんです。

― 2年生は?

2年生は「インタラクション」。1年生の時は世の中の情報に対し、自分がどうアクセスするかというのを教えているんですが、2年生は、どのように情報へアクセスさせるかが人間にどういった感覚を与え得るのか、ということを教えています。「情報を見ること」から「情報をさわる」ことを覚えていくというのが2年生の課題です。

教えること自体が自分の学びにもなりますし、単純にものづくりに興味がある人たちが伸びていってくれるのは見ていて楽しいですよ。

― 奥田さんは今ではTHE GUILDのボードメンバーとして組織運営にも関わられていますが、THE GUILDの一員として活動してみて何か思うことはありますか?

一番良いなと思っているポイントは、みんな黙々とやっていること。メンバー全員、何かを作ることに対して、非常に真剣なんですよ。その空気がすごく良いなと。何を聞いても本気で答えてくれます。

また、THE GUILDに居て、色んなことにどんどん首を突っ込んでいくと、自分の成長速度がとても早まるんですよね。興味深い案件がたくさんあるし、メンバー各々がプロフェッショナルで、さまざまな分野の仕事をしてるから、最初から全て独学で学ぶよりも、そういう空気に触れておくと、自然と自分の視野が広がっていく。

THE GUILDでの自分の役割

― 今後、力を注いでいきたいことはありますか?

個人的には、まだまだ仕事の幅が足りていないと思っているので、もっと色んなことに挑戦したいです。

先日のレストラン「Megriva」のロゴ・看板作りもそう。UI/UXデザイナーだから画面の中をデザインしなきゃならないってことは全然なくて、ロゴを使ったコミュニケーション体験があってもいいんじゃないかと。

また、研究開発を行うラボ的な要素をTHE GUILD内に作っていきたいです。今は課題解決型の案件が多いですが、創発するタイプの物作り的な要素が同時にあれば、そこから新しい引き出しがどんどん生まれていって、新しい仕事に結びついていくのではないかなと。

僕個人でやってきたことをうまく生かしながら、もっと色んなことができる組織にしていきたい。それは、THE GUILDの中でも僕が担っていく役割なのかなと思ってます。

― ありがとうございました。

奥田 透也 / Yukiya Okuda
Interaction Designer, Programmer
THE GUILD board / Shouwakiden Inc. CEO

大学院で数学と情報工学を学びながら、独学でウェブデザインとFlashを学び、インタラクションエンジニアとして広告業界に従事。その後thaに入社。独立後はデザイン、プログラミング、インスタレーション制作に取り組む。シンプルなルールに基づいたインタラクションデザインが得意。

Twitter: @alumican_net